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感染症とセーフティネット保証

 

経済産業省は感染症の影響で中小企業の業況が悪化していることを踏まえ、全都道府県をセーフティネット保証4号の対象に指定、セーフティネット保証5号の業種を拡大、さらに初めての危機関連保証の発動を実施しました。

 

 

新型コロナウイルスが猛威を振るい、先行きがまったく見えない状況が続いています。アジア圏に限定されていた感染者がヨーロッパにも飛び火し、拡大の一途を辿っているのはご存知の通りです。

 

 

中国、韓国からのインバウンド需要の激減に始まり、プロ野球、高校野球、大相撲などが延期、中止、無観客になり、各種コンサート、イベント、会合などの中止、さらに歓送迎会などの飲み会や不要不急の外出の自粛、部品が供給できずに臨時休業においやられる工場など、日本経済への影響ははかり知れません。

 

 

数兆円単位の経済損失になると予測する専門家も現れており、中小企業の経営者の皆様も危機感を募らせていることと思います。

 

 

この状況に対し、経済産業省はセーフティネット保証による対策、さらには中小企業対策として初めてとなる「危機関連保証」を発動しました。

 

 

経済産業省の中小企業対策の発表を時系列で見ると、以下の通りです。

 

 

まず、3月2日に感染症の影響で中小企業者の業況が悪化していることを踏まえ、資金繰り支援措置として全都道府県をセーフティネット保証4号の対象と指定しました。

 

 

そして、3月6日付でセーフティネット保証5号の対象業種に旅館、食堂、レストラン、フィットネスクラブなど40業種を緊急的に追加指定することを発表しました。

 

 

セーフティネット保証制度とは、経営の安定に支障をきたしている中小企業者が、市区町村長の認定を受けることで、一般保証とは別枠で最大2億8,000万円の保証枠を利用できる制度で、以下の1号から8号のいずれかに該当する事業者が対象になります。

 

 

1号 大型倒産の発生により影響を受けている。

 

2号 取引先企業のリストラ等の影響を受けている。

 

3号 特定業種を営み、特定地域の災害等により影響を受けている。

 

4号 特定地域の災害等により影響を受けている。

 

5号 全国的に業況が悪化している業種を営んでいる。

 

6号 金融機関の破綻により資金繰りが悪化している。

 

7号 金融機関の合理化(支店の削減等)により借入が減少している。

 

8号 整理回収機構または産業再生機構に貸付債権が譲渡された再生可能な中小企業者。

 

 

さらに3月11日付で、危機関連保証を初めて発動。セーフティネット保証5号に、特に重要な影響を生じている乳製品製造業、理容・美容業など316業種を追加指定。創業1年未満であっても、同感染症の影響により、経営の安定に支障をきたしている創業者等も利用できるように、認定基準の運用を緩和。の3項目を発表しました。

 

 

危機関連保証は、重要な危機(今回は感染症)を原因として、最近1ケ月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少しており、かつその後2ケ月間を含む3ケ月の売上高等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれる中小企業者が、市区町村長の認定を取ることで、経営安定資金として一般保証およびセーフティネット保証とは別枠で最大2億8,000万円を利用できるという内容です。

 

 

詳しくは、経済産業省の下記ホームページをご確認ください。

 

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200311007/20200311007.html