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新型コロナウイルス感染症の給付金・協力金と東京都の融資について

新型コロナウイルス感染症はますます勢力を拡大し、日本全国に緊急事態宣言が発令される事態となりました。今回は、法人200万円、個人事業者100万円の「持続化給付金」と、東京都の「感染拡大防止協力金」、さらに「新型コロナウイルス感染症対応緊急融資および借換」について、なるべく分かりやすくお話ししていこうと思います。

 

盛りだくさんですが、お付き合いください。

 

目次

 

1.持続化給付金

① 給付額         ② 対象となる条件 

③ 申請に必要な情報 ④ 申請方法

 

2.感染拡大防止協力金(東京都)

① 給付額         ② 対象となる要件 

③ 申請に必要な情報 ④ 申請方法

 

3.新型コロナウイルス感染症対応緊急融資(東京都)

① 融資限度額      ② 対象となる要件 

③ 申請に必要な書類 ④ 申請方法

 

4.新型コロナウイルス感染症対応緊急借換(東京都)

① 融資限度額      ② 対象となる要件 

③ 申請に必要な書類 ④ 申請方法

 

 

1.持続化給付金

まず、連日の報道で目、耳にする「持続化給付金」についてお話しします。経済産業省が4月13日、「新型コロナウイルス感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧とするため、事業全般に広く使える給付金を支給する。」として概要を発表しました。

 

この給付金は、2020年度の補正予算案の成立が前提になっていますが、4月最終週を目処に確定する見通しと言われています。「全世帯、所得制限を設けず一律10万円問題」で、異例の閣議決定予算案の組み替えが行われますが、「持続化給付金」は現時点で発表されている内容で確定する可能性が高いと思います。予算が成立したら、1週間程度で申請受付を開始し、申請後2週間程度で銀行口座に給付金を振り込むとのことです。

 

① 給付額

法人は最大200万円、個人事業者は最大100万円です。昨年1年間の売上からの減少分を補填する形になります。計算方法は以下になります。

 

前年の総売上(事業収入) - (前年同月比50%月の売上 × 12ケ月)

 

2020年1月から202012月までの1年間で、2019年の同月比で50%以上売上が減少した月があれば、その月の売上を12倍して2019年の1年間と比較すれば良いということです。

 

2019年の売上が300万円で、3月の売上が25万円だった法人の今年3月の売上が10万円と50%以下だった場合、

 

    300 -10 × 12 ) = 180(万円)

 

なので、この法人は180万円の給付金が受け取れることになります。

 

2019年の売上が600万円で、3月の売上が50万円だった法人の今年3月の売上が20万円だった場合は、

 

    600 -20 × 12) = 360(万円)

 

となりますが、この場合は上限の200万円までということになります。

 

なお、創業間もない事業者への対応も検討中とのことです。

 

② 対象となる条件

新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者が対象になります。

 

資本金が10億円に満たなければ、中小企業でなくても対象になります。10億円に満たないという条件だと、ほとんどの会社が対象に入ります。ちょっと古い資料ですが、総務省の統計では資本金が10億円の企業は全体の0.32%しかないそうです。

また、会社以外の法人である医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人なども含まれています。

 

③ 申請に必要な情報

法人の場合は、(1)住所 (2)口座番号(通帳の写しで名義を確認するとのこと)(3)法人番号(4)2019年の確定申告書類の控 (5)減収月の事業収入額を示した帳簿等(様式は問わず)、

個人の場合は、(1)住所 (2)口座番号 (3)本人確認書類 (4)2019年の確定申告書類の控 (5)減収月の事業収入額を示した帳簿等(様式は問わず)になります。

なお、予算成立後に必要な情報が変更になることも考えられます。

 

④ 申請方法

Web上での申請が基本になるようです。但し、GビズIDを用いたものではないようです。GビズIDは、Jグランツなどの補助金・電子申請システムを利用するために必要なIDで、私も現在申請中ですが、取得には2~3週間かかると言われました。

 

現時点では「Web上での申請」がどのような形になるのか公表されていないと思いますが、GビズIDを用いずにJグランツを利用する可能性はあると考えています。経済産業省のホームページ

https://www.meti.go.jp/covid-19/index.html )によると、「完全予約制の申請支援を行う窓口」を順次設置するようです。

 

 

2.感染拡大防止協力金(東京都)

4月15日の記者会見で、東京都の小池知事は「新型コロナウイルスの封じ込めに向けた経済対策や医療支援として、総額約3,574億円の補正予算案」を発表しました。この中に入っていたのが、4月16日から5月6日の間の休業や短縮営業を条件として単独店舗の事業者に50万円、複数店舗を持つ場合は100万円を支給するという「感染拡大防止協力金(以下、協力金)」です。

 

17日の昼の時点で、すでにコールセンターには3万件に近い問い合わせが殺到したようです。この金額で倒産などの最悪の事態を乗りきれるかどうかは分かりませんが、インパクトのある施策であったことは確かだと思います。

都の実施概要を見ると、趣旨として、「新型コロナウイルス感染拡大防止のため、都の要請や協力依頼に応じて、施設の使用禁止に全面的に協力いただける中小の事業者に対し、協力金を支給」するとのことです。詳しく内容を見てみましょう。

 

① 支給額

50万円(2店舗以上有する事業者は100万円)

 

② 対象となる要件

「東京都における緊急事態措置等」により、休止や営業時間短縮の要請等を受け、少なくとも4月16日から5月6日までのすべてで協力した施設を運営する中小企業及び個人事業主に支給するとのことです。この期間中、1日でも営業すると対象外になりますので、ご注意ください。

 

なお、対象となる施設は、東京都総務局のホームページ

https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1007617/1007679.html )で確認できます。

 

キャバレー、デリヘル、性風俗店などが目を引きますが、カラオケボックス、場外馬券場、ライブハウス、教習所、学習塾、各種教室、マージャン店、パチンコ屋、ゲーセン、体育館、劇場、映画館、集会場、博物館、ペットショップ、レンタルビデオ屋、エステサロンなどが含まれていました。

逆に家庭教師、屋外運動施設、保育・介護施設、学童、銭湯、理髪店、美容院、ホテル、衣料品店、本屋、花屋、雑貨店などは対象外になっています。

なお、飲食店、居酒屋、喫茶店等は休止要請では対象外ですが、「朝5時から夜8時までの間の営業、および酒類の提供を夜7時までとすることを要請」となっており、営業短縮に協力すれば協力金の対象になります。

 

③ 申請に必要な情報

(1)協力申請書(法人は「法人番号」を記入)(2)確定申告書の写し、直近の帳簿、業種に係る営業許可証の写しなど、営業実態が確認できる書類 (3)事業収入額を示した帳簿の写し、休業期間を告知するホームページ、店頭ポスターの写しなど、休業の状況が確認できる書類 (4)誓約書。

 

なお、該当事業者は「要請・依頼に協力した事業者」として、都のホームページに紹介するとのことです。協力金を受け取ったことを公けにするということですね。

 

④ 申請方法

4月22日(水)に募集要項を公表し、それと同時にWebサイトを立ち上げて申請受付を開始するようです。受付は、以下の2通りが示されています。

 

(1)専用のホームページからWebを通じて申請 (2)郵送または持参による申請も可能

原則は、あくまでもWeb申請になりますね。

 

 

3.新型コロナウイルス感染症対応緊急融資(東京都)

ちょっと古い情報ですが、3月6日から、中小企業者および組合の方々に対して受付が開始された東京都の資金繰り対策が「新型コロナウイルス感染症対応緊急融資(以下、対応緊急融資)」です。

 

好条件ではありますが、あくまでも融資ですから「持続化給付金」や「協力金」と異なり利息を払う負債になります。融資の対象は、都内に事業所があり 信用保証協会の対象業種に属する事業になりますが、信用保証料の全額が補助になるため、セーフティネット保証よりも使いやすいように感じます。

 

内容は以下の通りです。

 

① 融資限度額

中小企業者は2億8,000万円。組合の場合は4億8,000万円です。

 

融資期間は、運転資金10年以内(据置期間2年以内)、設備資金15年以内(据置期間3年以内)で、利率は融資期間に応じて1.7%以内~2.2%以内の固定金利となります。なお、金融機関がリスクを負わない「責任共有制度の対象外」になる場合は、利率が低くなります。いずれにしても、信用保証料が全額、東京都の補助になるのはメリットですね。

 

② 対象となる要件

要件は、新型コロナウイルス感染症により、事業活動に影響を受けており、「最近3ケ月間(申込月の前々月を含めること)の売上実績」又は「今後3ケ月間(申込の翌月を含めること)の売上見込」が令和元年12月以前の直近同期と比較して、5%以上減少していることになります。

 

法人代表者は保証人となる必要がありますが、保証合計残高(過去の融資の保証を含めて)が8,000万円以下の場合は原則として無担保になります。

 

③ 申請に必要な書類

(1)信用保証委託申込書及び信用保証委託契約書 各1部 (2)個人情報の取扱いに関する同意書 2部 (3)印鑑証明書(申込人及び連帯保証人のもの)各1部 (4)法人の場合は商業登記簿謄本 1部 (5)確定申告書(決算書)の写し(原則直近 2期分)2部 (6)納税証明書(法人税又は事業税(個人は所得税))1部 (7)「新型コロナウイルス感染症対応」該当届 1部 (8)融資対象であることが確認できる書類の写し 1部。

かなりの分量になります。

 

④ 申請方法

東京都中小企業制度融資取扱指定金融機関、東京信用保証協会、都内商工会議所・商工会、東京都中小企業振興公社などが、融資申し込み受付期間として指定されています。

 

まずは、付き合いのある金融機関に相談することになると思います。

 

 

4.新型コロナウイルス感染症対応緊急借換(東京都)

緊急融資につづき、3月17日から、中小企業者および組合の方々に対して受付が開始されたのが「新型コロナウイルス感染症対応緊急借換(以下、対応緊急借換)」です。

 

すでに受けている保証協会の保証付融資に対し、借り換えにより資金繰りの安定化や経営改善を図るための融資メニューになります。既往の保証付融資がある場合、検討に値する内容だと思います。詳しく見ていきましょう。

 

① 融資限度額

中小企業者は2億8,000万円。組合の場合は4億8,000万円です。

 

融資は運転資金のみで、期間は10年以内(据置期間2年以内)になります。利率は融資期間に応じて1.7%以内~2.2%以内の固定金利となります。なお、金融機関がリスクを負わない「責任共有制度の対象外」になる場合は、利率が低くなります。

 

信用保証料は全額、東京都の補助になりますが、借換の対象になるもともとの融資に対して元金の返済が1年以上継続して行われていない場合は、東京都の補助が2/3に減りますので、注意が必要です。

 

② 対象となる要件

要件は、「対応緊急融資」同様、新型コロナウイルス感染症により、事業活動に影響を受けており、「最近3ケ月間(申込月の前々月を含めること)の売上実績」又は「今後3ケ月間(申込の翌月を含めること)の売上見込」が令和元年12月以前の直近同期と比較して、5%以上減少していることになりますが、「事業計画を策定し、経営改善等に取り組むこと。」という条件が追加されています。

また、保証人、担保などの要件は、「対応緊急融資」と同じです。

 

③ 申請に必要な書類

(1)信用保証委託申込書及び信用保証委託契約書 各1部 (2)個人情報の取扱いに関する同意書 2部 (3)印鑑証明書(申込人及び連帯保証人のもの)各1部 (4)法人の場合は商業登記簿謄本 1部 (5)確定申告書(決算書)の写し(原則直近 2期分)2部 (6)納税証明書(法人税又は事業税(個人は所得税))1部 (7)「新型コロナウイルス感染症対応」該当届 1部 (8)融資対象であることが確認できる書類の写し 1部。ここまでは、「対応緊急融資」と同じですね。

 

そして、さらに(9)「新型コロナウイルス感染症借換」事業計画書が必要になります。事業計画書の様式が、東京都産業労働局のホームページの「お知らせ一覧」( https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/kinyu/yuushi/yuushi/new/#coronakarikae )からダウンロードできます。

A4の用紙1枚ですが、内容を確認しましょう。

 

まず、「既往の借入と今回の借入申し込みに対する返済の計画」を記入し、「今後計画的に取り組む事項(売上・受注の増加を図る、収益性の向上を図る、その他の3項目)」と「経営の前期実績と今年度および翌年度見込み(損益計算書の要点を記入する形です)」の2点を簡潔に記載するイメージですね(すでに事業計画書を作成済みの場合は、それの添付でも可)。

 

④ 申請方法

既往の融資を受けている金融機関に相談することになります。金融機関の窓口はかなり混雑している状況ですが、行動するしかありません。

まずは、二度手間にならないように、必要な書類を早く取りそろえることが大事だと思います。

 

 

 

以上、経済産業省の「持続化給付金」、東京都の「感染拡大防止協力金」と「新型コロナウイルス感染症対応緊急融資および借換」についてお話ししました。皆様の会社にとって良い情報だったでしょうか?

 

資金繰りが待ったなしの中小企業の経営者の皆様にとっては少額かもしれませんが、少なくても早く手を打つに越したことはありません。「よくわからない?」という方は、無料で相談に応じますので、「問い合わせ」フォームをご利用ください。

 

なお、東京都は「危機対応融資」として、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が15%以上減少している中小企業者に一般保証枠とは別枠で2億8,000万円、全額保証料補助の融資を行っています。

合わせて、東京都産業労働局のホームページをご確認ください。

 

 

国や東京都の補助金や融資は、日々変更される可能性があります。このホームページの記事もすぐに陳腐化します。つねに最新の情報を各機関のホームページで確認くださるようにお願いいたします。

 

それでは、この難局を元気に乗り越えていきましょう!